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自己破産

同時廃止と管財事件の振分け基準

破産申立後、事件が同時廃止事件になるか、それとも管財事件になるかによって、その後の債務者の負担は大きく変わります。一番大きな違いとしては、管財事件になると管財予納金(最低20万円)を負担しなくてはならなくなる点でしょう。
これ以外にも、管財人との面接が必要になる点や、手続きが終了するまで郵便物がいったん管財人を通してから送られてくることになる点など、いくつかの違いが出てきます。

それでは、東京地方裁判所の場合、どのような基準によって、同時廃止と管財事件の振り分けがなされているのでしょうか。この点について以下解説していきます(平成29年4月1日改訂 即日面接通信vol.1より)。

33万円以上の現金がある場合

この場合は、直ちに管財事件になります。

20万円以上の換価対象資産がある場合

要するに、売却して20万円以上になるような資産を持っている場合です。この場合も管財事件になります。ただし、退職金については、退職金額の8分の1が20万円以上かどうかで判断されます(退職済みの場合は4分の1)。

抵当権の被担保債権額が不動産処分予定価格の1.5倍未満の場合

不動産を所有している場合には、原則として管財事件になります。不動産は、通常売却することで配当原資となる可能性が高いからです。ただし、不動産の時価よりもはるかに大きい金額の抵当権が付いている場合には、売っても配当原資に回るお金はないため、例外的に管財事件とはならず、同時廃止事件になります。

例えば、売ったら3000万円になる家を持っていて、そこに住宅ローンの抵当権が付いていて、ローン残高が2000万円の場合、差し引き1000万円の価値の不動産を所有していることになり、上記2の基準により、20万円以上の換価対象資産がある、という評価になります。他方、ローン残高は2000万円で、売却予定価格が1200万円という場合、抵当権の被担保債権額は不動産処分予定価格の約1.7倍です。1.5倍以上になっているため、売却しても配当原資に回るお金はない可能性が高いということになり、同時廃止事件になります。

資産調査が必要な場合

20万円(現金の場合33万円)以上の資産を有していないことが明らかでない場合、資産調査が必要であるという理由から管財事件になります。弁護士が破産申立の代理をする場合、この資産調査を可能な限り尽くすことにより、管財事件に回されるリスクを最小限にして申立てを行うことになります。なお、自営業者などの場合、事業の運営資金と個人の財布が一緒になっていることも多く、資産調査が必要と判断されるケースも多いといえます。

法人併存型の場合

まず、法人の破産は必ず管財事件に振り分けられます。そして、法人の代表者も自己破産を申し立てる場合には、原則として、法人と併せて管財事件に振り分けられます。

免責調査が相当な場合

破産申立てを行うメリットは、「債務が法律上免除される」という点にあります。しかし、借金をした原因が、過度に高額な飲食や買い物、風俗、ギャンブル、投機行為などである場合、原則として債務は免除されません(ただし、管財事件となり、その後の管財人の調査に対して誠実に協力することによって、裁量免責といって、例外的に債務が免除されることも少なくありません。)。このように、原則として債務が免除されない原因、すなわち免責不許可事由があることが明らかで、その程度も軽微とは言えない場合には、管財事件に振り分けられます。

7年以内に免責許可を受けたことがある場合

この場合には例外なく管財事件に振り分けられます。

上記1~7のいずれにも当たらない場合、同時廃止事件になります。


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