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自己破産と養育費の支払義務について

裁判所への申立てによって、借金が免除されることになる自己破産手続ですが、滞納している過去の養育費や、将来支払うべき養育費についてはどうなるのでしょうか。自己破産と養育費の支払義務の関係について詳しく解説します。

養育費とは

夫婦が離婚をする際には、父母のいずれかが子供の親権者と定められ、通常は親権者が身上監護権を持つことになります。身上監護権とは、身分行為の代理権、居所指定権、懲戒権などからなる親の権利であるとともに、子供の健全な発育を促し、見守る義務でもあります。簡単に言うと、子供と一緒に住んで、ご飯を作って食べさせたり、学校に行かせたり、悪いことをした時には叱りつけたりすることと言って良いでしょう。

親権者(=身上監護権者)は、子供と一緒に住むための家の賃料、食費、水道光熱費、学校までの交通費など様々な費用を負担しなければなりません。そのため、親権者でない方の親は、親権者に対し、子供を育てるためにかかる一定の費用を毎月支払う義務があります。これが養育費です。

未払い養育費と時効について

親権者でない方の親が、親権者に毎月いくらの養育費を払うかについては、当事者間の合意で決める場合と、調停や裁判などで決める場合があります。

夫婦間の話し合いで決められる場合は良いのですが、金額の折り合いが付かなければ、調停や裁判で決めてもらうことになります。

いずれにせよ、決められた養育費を相手がちゃんと支払ってくれれば良いのですが、真面目に支払ってくれない相手もいます。この場合、いつまでも放っておくと、養育費は時効によって消滅してしまうことがあるので注意が必要です。

夫婦間の話し合いで合意が成立した場合の消滅時効は5年(民法169条)、調停や裁判で決まった場合の消滅時効は10年と定められています(民法174条の2)。

養育費の消滅時効

夫婦の話し合いで決まった場合 →  5年間
調停や裁判で決まった場合   → 10年間

自己破産と養育費の関係

自己破産によって養育費がどうなるかについては、滞納してしまった過去の養育費と将来発生する養育費に分けて考える必要があります。

過去の養育費

滞納してしまった過去の養育費は、滞納してしまった借金の返済と同じように、破産者にとっては「債務」、親権者にとっては「債権」ということになります。したがって、親権者も、銀行や消費者金融などと同じように「債権者」の一人となります。

もっとも、養育費支払請求権は、破産法253条1項4号ハによって、非免責債権とされています。

非免責債権とは、自己破産手続によっても免責されない債権のことです。養育費支払請求権の他、租税等の請求権、破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権なども非免責債権とされています。

養育費支払請求権は非免責債権なので、支払義務者が自己破産の手続をしても、過去の養育費(ただし、時効によって消滅していないことが前提)を支払う義務は消滅しません。

将来の養育費

将来の養育費については、自己破産を申立てた時点でまだ具体的に支払義務が発生しているものではないので、当然消滅しません。自己破産手続をした1年後に友達からお金を借りたとして、そのお金も返さなくて良いわけがありませんよね。それと同じです。

また、自己破産によって、「将来にわたって養育費を支払い続けなければならない」という義務そのものが消滅するわけでもありません。

養育費の支払いが困難な場合の対処

このように、自己破産手続をしても、養育費については過去の分も将来の分も免除されることはありません。

もっとも、自己破産を選択せざるを得ないほど経済状況が悪化しているのであれば、家庭裁判所に「養育費減額調停」の申立てをして、自分の生活すらままならないくらいに経済状況が悪化していることを説明することで、養育費の減額が認められる可能性はあるでしょう。

したがって、クレジットカード会社などからの借入れ等によって返済が困難になり、さらに養育費の支払いも難しいというような場合、自己破産手続を行い、あわせて養育費減額調停の申立てを行うことで、クレジットカード会社などからの借金については全額免除を受け、養育費については減額してもらうことで、生活を再建していく目途が立つ可能性があるでしょう。

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