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債務整理の面談義務

「カードローンの返済が苦しい」「買い物をしすぎてしまい、リボ払いの月々の返済額が大きくなりすぎた。」「彼氏・彼女に内緒で借りたお金の返済によって生活が苦しい」といった悩みを抱えたご相談者様であれば誰でも、一刻も早く相談したい、弁護士事務所に行く時間すら惜しいからできれば電話で依頼を済ませたい、と感じるのではないでしょうか。

しかし、残念ながら債務整理を電話だけで依頼することはできません。これは、日本弁護士連合会(以下「日弁連」といいます。)の規則によって禁止されているからです。

直接の面談義務

日弁連が定めた「債務整理事件処理の規律を定める規定」の第3条には次のように書かれています。

第1項 弁護士は、債務整理事件を受任するに当たっては、あらかじめ、当該事件を受任する予定の弁護士(中略)が、当該債務者と自ら面談をして、次に掲げる事項を聴取しなければならない。ただし、面談することに困難な特段の事情があるときは、当該事情がやんだ後速やかに、自ら面談をして、次に掲げる事項を聴取することで足りる。

一 債務の内容
二 当該債務者(当該債務者と生計を同じくする家族があるときは、当該家族を含む)の資産、収入、生活費その他の生活状況
三 当該債務者が不動産を所有している場合にあっては、その処理に関する希望
四 前号に掲げるもののほか、当該債務整理事件の処理に関する意向

第2項 弁護士は、前項ただし書に規定する特段の事情がある場合であっても、電話、書面、ファクシミリ、電子メールその他の適当な通信手段により、又は同居の親族を介するなどして、前項に掲げる事項を把握した上で受任しなければならない。この場合においては、当該弁護士が面談して聴取を行う場合と変わらない程度に、当該事項を的確に把握することができるように努める。

このような規定があるため、弁護士は、依頼者の方と直接会ってお話を伺い、債務整理を受任しなければならないのです。第1項ただし書があるので、初回の面談については電話等で行うこともできますが、その場合でも、後日必ず会って直接お話を伺うべきことが定められているのです。

当事務所では、もちろんこの規定を順守して、必ず弁護士がご相談者様と直接お会いして、十分ご意向を伺った上で債務整理の受任をしておりますが、中にはこの規定を無視して、電話やメールなどだけで依頼を受け、案件を処理している弁護士もいるようです。そのような弁護士に依頼した場合、実際には弁護士が事件に関与せず、完全な事務員任せでいい加減な和解を結ばれてしまったり、本来同時廃止になるはずの自己破産申立が管財事件になってしまうといったことが起こり得るのです。そうすると、結局はクライアント様にとっての不利益となってしまいますので、十分ご注意ください。

直接の面談義務

2020年初頭から流行が本格化した新型コロナウイルスへの感染予防対策として、多くの企業がテレワークを推進し、会議などもテレビ電話で行われることが多くなってきました。

当事務所でも、債務整理以外の案件については、すでに多くのクライアント様とテレビ電話を通じた面談を実施しており、直接面談とほとんど変わらない利便性を感じおります。

そうすると、債務整理に関しても、テレビ電話会議であれば、直接面談と同視して、テレビ電話による受任も認めてしまって良いのではないかとも思います。その方が、相談者様にとっても場所や時間の制約にとらわれず、ご自宅からでも弁護士事務所にアクセスでき、早期に債務整理の相談をすることで、迅速かつ適切な生活再建が可能になると思われます。また、仮にテレビ電話による相談を認めたとしても、弁護士が案件処理を全て事務員任せにするといった弊害は避けられるでしょう。

日弁連が「債務整理事件処理の規律を定める規定」を定めたのは平成23年のこと。今では、スマートフォンが普及し、画質も音質もデータ通信速度も飛躍的に向上した結果、テレビ電話を使えば直接会って話すのと何ら変わらないかのようにスムーズにコミュニケーションができる時代になりました。

現時点(2020年5月15日)では、残念ながらテレビ電話会議は直接面談には当たらないと解されているようですが、時代に合った規定の改正が必要な時期が来ているように思います。

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