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借金を滞納したらいつ給料を差押えられるか?

借金を滞納したまま、返済しないでいると、強制的に債権回収されることになりかねません。給料の差押えは、強制的な債権回収の方法の1つです。現代では、債権者が勝手に債務者(滞納者)の給料を差し押さえることは認められておらず(これを自力救済の禁止といいます。)、執行手続をとらなければなりません。 ここでは、どのような手続で給料の差押えがなされるか詳しく解説します。

借金はいつから滞納になるのか

返済時期が決まっているもの

返済時期が、①「令和2年6月30日まで」とか、②「令和2年6月以降、毎月末日まで」といったように特定されている場合には、その期限を過ぎれば滞納状態となります。上記①の例であれば、「令和2年7月1日」から滞納状態となります。滞納状態がいつから始まるかは、それぞれ契約の内容によって異なりますので、契約書を確認しましょう。

分割払いの場合、支払を怠ったら、期限の利益を失うというような約束がされている可能性もありますので注意して下さい。この約束があると、例えば、毎月末日に3万円返しますと約束していた債務者が支払を一度でも怠ってしまうと、残っている借金全額が滞納状態となり、残額を一括して支払えと言われてしまうことになります。

返済時期が決まっていないもの

個人的に親しい間柄での貸し借りだと具体的にいつ返せばいいのか決めていないこともあるかもしれません。その場合は、債権者から返還を求められた時から滞納となります。

滞納状態になったらすぐに差押えされるの?

債務者が滞納したからといって、直ちに債権者が自ら、債務者の給料を差し押さえることはできません(自力救済の禁止)。

債権者は、裁判所に対して貸金の返還を求めて訴えを提起(提訴といいます。)した後に、執行(ここでは差押えのこと)という手続をとる必要があります(下の図をご覧ください。)。

ただし、国や地方公共団体(都道府県や区市町村)が税金の滞納者に対して税金の支払を求める場合には、訴えを提起しなくても差押えをすることができます

差押えまでにどのような手続が進められますか?

差押えまでの手続

税金を滞納した場合には、督促状が送られてきます。督促状に書かれた期限までに完納しないと差押えがされることになります。

税金を滞納した場合については、トピック≪税金の滞納を続けるとどうなりますか≫ で詳しく解説していますので、そちらをご覧ください。

裁判を起こされるとどうなるの?

債権者が、裁判所に対して貸金の返済を求めて債務者にお金を払えという判決を求めて訴えを提起します(この時の債権者を原告、債務者を被告と呼びます)。
裁判所に訴えが提起(提訴)されると、裁判書から次の書類が送られてきます
①呼出状(裁判所に出頭する日などが書いてあります。)
②原告が裁判所に提出した訴状・証拠
被告は、送られてきた書類を確認して、裁判所に対して言い分を書いた書面を提出することになります。呼出状に書面の提出期限が書かれており、出頭する日の1週間から2週間程度前が提出期限とされていることが多いです。
その後、指定された日時に裁判所に出頭することになります。そこでは、原告(代理人)と裁判官と被告が揃って、お互いの主張やその後の進め方等について手続が進められます。

執行手続がとられるまで給料の差押えはされない?

債権者は上の図の手続を踏む必要がありますので、これらの手続に要する期間は、差押えができないことになります。このようにみると、裁判が起こされて(提訴されて)、判決書が送られてくるまでは差押えがされることはないようにも見えますが、そうとも限りません。

債務者の中には、差押えまでの間に散財してしまう方もいます。そうすると、債権者が裁判で勝訴しても結局お金を回収できないということになってしまうので、そうならないために債権者を保護する制度が用意されています。この1つに仮差押えというものがあります。

仮差押えは、上記の図でいうと提訴の前になされます。しかも、この手続は、債権者と裁判所との間でなされるので、債務者は仮差押えがされるまで全くわかりません

仮差押えというのは「仮」とついている以上、仮の手続です。イメージとしては、差押えがなされるまでの仮の手続というものですが、差押えと同じ効果をもっています。

結局いつ差押えがされるの?

仮差押えは、借金を滞納した後、間もなくなされる可能性があります。ただ、多くの場合には、裁判を起こす前に催告書などを送付してくると思いますので、返済期限の翌日に仮差押えがされるということは少ないのではないかと思います。法的措置を採るという内容の内容証明郵便が送られてきた場合には、いつ仮差押えがなされてもおかしくありませんし、いつ裁判を起こされてもおかしくありません。
裁判が起こされてから判決が言い渡され、給料の差押えがなされるまで、事件によってまちまちですが、早ければ2か月程度ということもあるでしょう。

給料の差押えがされてしまったら

裁判所は、給料を支払っている会社に対して差押命令を送ります。これによって、会社は、債務者がお金を借りていること、債権者から裁判を起こされて債権者の請求が認められたこと、今なお滞納していて差押えがなされたことなどを知ることになります。

この差押命令が会社に届くと、会社は、債務者への給料の支払を一部禁止されます。

その後、借金を完済するまで、毎月一定額(=会社が債務者への支払を禁止された分)が債権者に支払われ続け、その残額が債務者に支給されることとなります。

この点は、仮差押えでも同様です。

給料の差押えがされてしまう前に

給料の差押え(注:仮差押えではありません。)に至るまでのことを債権者側から見てみますと、債権者は、催告書の送付、内容証明の送付、弁護士費用、裁判費用と多くの時間と費用を費やしています。債権者としては元本に加えてこれらの費用も回収できなければ損をしてしまいます。ですので、裁判を起こされてから債務整理をするにしても裁判を起こす前と比べて厳しい条件となる可能性が高いです。

もし、差押えまでされているようであれば、債権者としては、債権を回収しきるまで、差押えを解除する理由はありません。この段階で支払について協議をするといっても債権者としては、現状よりも悪い条件では合意してくれないでしょうから債権者との交渉はとても難しいものにならざるを得ません。

そうなってくると、債務整理をするにしても、相当に制約がかかってきますので、早期に借金の状況や債務整理をどうすればよいのか等を弁護士に相談すると良いでしょう。

まとめ

借金を滞納すると、債権者は、催告、内容証明郵便の送付、訴えの提起を活用して債権回収を試みます。その中でも強い効果を持つ仮差押えや差押えについて、いつ手続を行うかは債権者の手に委ねられているといえます。つまり、借金を滞納していると滞納者の都合とは関係なく給料の差押えをされることがあるということです。

突然給料の差押えをされることになれば、債務者は、借金の状況について会社に知られることとなるといった不利益を受けたり、生活が苦しくなったりする可能性があります。

早めに弁護士に相談した方が良いということは重々承知しているけれども、いつ弁護士に相談したら良いのだろうか、まだ考えもまとまっていないのに相談に行って良いのだろうか、とお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、給料が差押えられてしまった後では、生活再建のための収入確保や債務整理は非常に難しくなります。借金があって生活が苦しいと感じたら債務整理をどう進めると良いのかなど、早めに弁護士に相談すると良いでしょう。

当事務所では、無料の法律相談を行っておりますので、債務をどうにか整理したいけど、どういう方法があって、どれが自分にとって良い選択かお悩みでしたら、ぜひご相談下さい。

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