Q1 主治医が後遺障害診断書を書いてくれない場合はどうすれば良いのですか? |
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A.1 医師法19条2項は、「診察若しくは検案をし、又は出産に立ち会った医師は、診断書若しくは検案書又は出生証明書若しくは死産証書の交付の求があった場合には、正当の事由がなければ、これを拒んではならない。」と定めています。そして、東京簡裁平成16年2月16日判決は、「診察をした医師には、診療契約の内容として、診断書の交付要求に対して応じる義務があるというべきところ、診断書が詐欺、脅迫等不正目的で使用される疑いが客観的状況から濃厚であると認められる場合、医師の所見と異なる内容等虚偽の内容の記載を求められた場合、患者や第三者などに病名や症状が知られると診療上重大な支障が生ずるおそれが強い場合など特別の理由が存する場合に限って、拒否すべき正当事由が存在するとして交付義務を免れることができる」と判示しています。この裁判例の立場に立てば、医師が後遺障害診断書の作成・交付を拒める場合というのはかなり限定されたケースのみということになり、通常は作成・交付を拒むことはできないと解されます。 したがって、主治医が後遺障害診断書の作成・交付を拒む場合には、同条項の趣旨を丁寧に説明して、ご協力いただけるように粘り強く説得する必要があります。 |
Q1 遺産分割の調停や審判はどこの裁判所に申し立てれば良いのですか? |
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A.1 調停事件として申し立てる場合と審判事件として申し立てる場合とで異なります(遺産分割事件には調停前置主義が適用されないため、いきなり審判の申立てを行うことも可能とされています。)。
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Q.2 相続財産の評価について教えて下さい。 |
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A.2 相続財産の評価については、「相続財産の評価時期」と、「相続財産の評価方法」という二つの点が問題になります。
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Q.3 相続欠格と推定相続人の廃除について教えて下さい。 |
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A.3 どちらも、相続人としてふさわしくない人を相続の対象から外す制度です。なお、当人のみを相続の対象から外すという趣旨から、相続欠格該当者ないし被廃除者に子がいる場合は、その子は代襲相続人となり、相続の当事者となることができます。この点が、代襲相続が起こらない相続放棄とは異なっています。
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Q.4 生前贈与が特別受益に当たる、とはどういう意味ですか? |
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A.4 生前贈与が特別受益と評価される場合、遺産分割に際し、相続財産に生前贈与を 加えたものを相続財産とみなした上で、相続人の相続分を計算し、生前贈与を受けた者 については、その相続分から生前贈与の額を控除します。これは、共同相続人間の公平 を図るための制度といえます。簡単に言えば、生前にたくさん贈与を受けた人がいる場 合、その贈与分は相続分から引きましょうということなのです。 |
Q.5 どのような生前贈与が特別受益に当たるのでしょうか? |
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A.5 法律上は、「婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として」の贈与と されています(民法903条1項)。もう少し具体的にみてみましょう。
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Q.6 寄与分とはどういう制度ですか? |
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A.6 寄与分とは、共同相続人中に、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者がある場合に、他の相続人との間の実質的な公平を図るため、その寄与をした相続人に対して相続分以上の財産を取得させる制度をいいます(民法904条の2)。 ここで、特別の寄与とは何かが問題となります。特別とは、身分関係に基づいて通常期待されるような程度を超える貢献をいうと解されています。 寄与の方法としては、次のようなパターンがあります。
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Q.7 遺産分割協議はいつ行えばいいのでしょうか? |
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A.7 共同相続人は、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができます(民法907条1項)。ただし、遺言による分割禁止や家庭裁判所の分割禁止の審判があるとき、または相続人間で分割を禁止した場合には、その期間中は分割することができません。 つまり、もし仮に、相続人の中に遺産分割に反対している人がいたとしても、基本的 にいつでも遺産分割を求めることは可能だということです。 他方、相続税の申告と納税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行わなければなりません。では、遺産分割が未了のまま10か月が過ぎようとしている場合にはどうすれば良いのでしょうか。この場合は、各相続人が法定相続分を取得したものとして相続税計算を行い、申告期限内に申告納税を行うことになります。 |
Q.8 内縁の夫や妻には相続権は一切認められないのでしょうか? |
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A.8 内縁配偶者や事実上の養子について、相続権は認められないと解されています(最決平12.3.10民集54-3-1040は、内縁の夫婦の一方の死亡により内縁関係が解消した場合に、財産分与に関する民法768条の規定を類推適用することはできないと判示しています。)。 ただし、特別縁故者として、相続人が不在の場合に相続財産の全部または一部の分与を請求することができます(民法958条の3)。また、被相続人の借家権を承継して、建物の賃借人としての権利を承継できる場合があります。すなわち、居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において、その当時婚姻または縁組の届出をしていないが、建物の賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継するとされています(借地借家法36条1項)。 |
Q.9 特別縁故者とはどういう制度でしょうか? |
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A.9 相続人がいない場合(相続人を捜索するための公告で定められた期間内に相続人である権利を主張する者がなかった場合)、家庭裁判所は、相当と認めるときは、被相続人と特別の縁故のあった者(特別縁故者)の請求によって、その者に、清算後残った相続財産の全部または一部を与えることができます(民法958条の3)。 自動的に財産が分与されるわけではなく、家庭裁判所への申立てが必要であることに注意が必要です。 では、具体的にはどのような方が特別縁故者に当たるとされるのでしょうか。家庭裁判所の審判で特別縁故者として認められた例をいくつか挙げてみます。 ア 被相続人と生計を同じくしていた者 イ 被相続人の療養看護に努めた者 ウ その他被相続人と特別の縁故があった者 特別縁故者として認められるためのハードルは決して低いとはいえませんが、様々な類 型の特別縁故者が認められています。 |
Q.1 遺言で認知や推定相続人の廃除をすることはできますか? |
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A.1 できます。 認知の遺言があれば、遺言執行者が認知の届出を行い(戸籍法64条)、その上で、認知を受けた者を加えて遺産分割協議が行われることになります(民法781条2項)。 推定相続人を廃除する旨の遺言をした場合、廃除の審判を経て、当該推定相続人が相続人から外れることになります(民法893条)。 |
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